予算がなくても自分でできる、ブログからのマーケティングを考える。
ウェブサイトをデザイン制作から行って立ち上げるのは、自分で作るにしろ、業者に任せるにしろ、以前のエントリーでも書きましたがいろいろ大変です。
ちゃんとしたいいものを作るには、見た目の良さだけではなく、どのような訪問者を想定して、その人たちにどのような価値・情報を提供するサイトなのか、そのためにはどんなコンテンツを用意するのか、そのコンテンツを分かりやすく見せるにはどんなデザインを採用するべきなのか、設計上検討すべきことは多岐にわたります。
ブログは手軽?
その点、ブログは敷居が低いと言えます。もちろん、どんな人向けに、どんな情報を提供するブログか、というコンセプトは極めて重要です。ここがぶれていてはどんなに更新をがんばってもいいブログにはなりませんし、ユーザーも一部を除いて暇ではありませんから、わざわざ時間を割いて自分にとって価値のないブログを丁寧に読んでくれたりはしません。
敷居が低いと私が言う理由は、やはりデザイン設計にかかるコストがさほどかからない点でしょう。
ブログである以上、提供できるものは基本的に文章コンテンツなので、一から設計したウェブサイトに比べてはできることも限られていますが、ブランディングや、落としどころをユーザからの電話、メールでの問い合わせあたりに設定すればブログで十分マーケティングは可能です。
ブログでのマーケティングを考える
ブログでのブランディングとはどういうことか?
例えば植木屋さんがいたとしますね。この人はもっと仕事を増やしたい、自社の名前を広めたい、と思っていますが、ウェブサイトを立ち上げる予算も時間もありません。
そこでブログを活用することにします。
ブログのユーザーとして想定するのは、もちろん最終的には植木屋さんに庭木の手入れを依頼するお客さんなわけですが、いきなりインターネットを検索して出てきた業者にそれを依頼する人はゼロではありませんがなかなかいません。
恐らく、インターネットで植木屋さんの書く話を読みに来るのは、まだ発注しようとまでは考えていないけれど園芸や庭に興味があったり、発注とは逆に庭木がボサボサになってきたけど、頼むのも金がかかるから自分でさっくりできる上手いやり方はないものかと考えている人ではないでしょうか?
ペルソナを考える
ターゲットとなるユーザをまずこう想定します。こういった、想定されたユーザのキャラクターは「ペルソナ」と呼びます。ウェブサイトでもブログでも、サイト設計はこのペルソナに向けて何を提供できるか、というのがスタートです。
さて、では庭木の手入れを自分でやりたい人に対して、プロの植木屋さんは何を提供できるでしょう?
そして、何を提供すればユーザーの満足を得られるでしょう?
もちろんそれは、庭木手入れのコツです。
書いている私が詳しくないので的外れなことを言っていると思いますが、こうなっている枝はこういう鋏の使い方で切るだとか、こういう虫が付いたらこういう薬で退治出来るだとか、こういう木の形が気に入らなかったらこういう方法で枝を誘導してやるとカッコよくなるだとか、そういう話が読みたいはずです。
ですから、この植木屋さんは、ブログにこういうためになる話をどんどん書いていきます。
ごく稀には関係ない話を書くのもいいですが、先ほども言ったように見るほうは暇ではないですから、今日は仕事仲間と気分転換にゴルフに行っただとか、あまりこういう記事を増やすべきではありません。植木の手入れの仕方を知りたいのに、植木屋がゴルフに行こうがどうしようがどうでもいいです。こういう話題は個人のfacebookでやりましょう。
とにかくブログ上では、徹底的に常にペルソナを意識して、彼らに喜んでもらえる情報を書きます。
googleなどの検索結果からの流入(SEO)
さて、こういう有益な情報を提供し続けていると、googleの評価がだんだん上がってきます。
植木の手入れの話ならこのブログにいい情報がいつもあるから、「植木 手入れ」なんて話で検索する人はこのブログを読むといいよ、と、検索結果の上位に上げて紹介してくれます。
google検索のキーワードも、記事を書く上で意識しているといいですね。ペルソナは植木の手入れの情報を仕入れようと思ったらどんなキーワードで検索を掛けるのか?ということを想定して、そのキーワードを含めた記事を書きます。
例えば台風の後で庭に葉っぱが散らかったり、枝が折れたりすると庭の片づけをしたくなる人が増えるでしょうから、折れた枝の処理の話をそのタイミングで書いて、そこには「台風」「片付け」などのキーワードも本文内で言及していくようにします。記事の内容が有益なものなら、「台風 片付け」というキーワードでの評価が上がって、こういう検索を掛けた際に上位に表示されるようになります。
めでたくペルソナで想定したようなユーザがいよいよこの植木屋さんのブログにやってくるわけです。
こういった検索エンジン、とりわけgoogleを想定して、検索結果からいかにアクセスを得るか、を考えることをSEOと言います。
ちなみにこの最後の1文はこの記事に「SEO」というキーワードを関連付けたいのでわざわざ書いています(笑)
単純にキーワードを埋めるだけでは評価の対象にはなりませんが、私はその前にSEOの話を実際に書いていますのである程度評価されるでしょう。
ユーザーを育てる。
ブログを見に来たユーザーには、次に価値を提供しなくてはなりません。せっかく来ていただいたお客さん、手ぶらで帰してしまってはダメです。
ここの例だと、今お客さんは台風で枝が折れて傷んでしまった庭木をなんとかしたくて植木屋ブログにやってきています。そのページに、自分は植木屋のコンテスト(あるのかな?)で実力を評価された腕利きの植木屋ですといった話が書いてあったら、もう検索結果で次に出ていたサイトを見に行っちゃいますね。自分ならそうします。
ところが、そこに書いてあったのが折れた枝の手入れの仕方であれば、最後までじっくり読みます。
まあ、これに関しては、前項のようにブログ立ち上げ時からペルソナを意識して作り上げてきたブログであれば問題なくユーザーの満足を得られることでしょう。
さて、めでたくペルソナで想定していたようなお客さんにブログにお越しいただいて、満足いただけたわけですが、これで終わってしまってはダメですね。ここまでしっかりしたブログを作るのはかなりの手間がかかっています。植木屋さんが使った時間を人件費に換算したら相当な金額になると思います。
慈善事業じゃないですから、ホントはユーザーさんには台風の後始末を自分でやるんじゃなくて、依頼してもらいたいわけです。
マーケティングの次の段階は、今は当面の困った事態の解消に情報を仕入れに来ただけのお客さんを、顧客に育て上げることです。
例えばブランディング。植木屋と言えばここが信用できる!という意識をユーザーに植え付けます。
これに関してはこの段階である程度で来ていると思います。なにしろ台風で困ったときに参考になる解決策を示してくれた植木屋さんですから、何かあったらあそこに頼みたい。と今は思ってくれているでしょう。理想を言えばここで囲い込みを行います。人間の記憶はどうせ大したことがないので、いざ何かあった時には忘れられていますから。
この対策としては、ページにメールマガジンを登録できるようにして、他にも有益な情報を時々教えますよ、と表示して置いたり、facebookでも情報を配信していますよ、と誘導して「いいね!」をしてもらいます。こうなれば、ブログを書いたタイミングなどでそれの通知だったり、ブログでは書けないより詳しい話を特別に教えたり、といったアプローチが今後可能になります。
初回訪問時に満足する話が聞けたユーザーであれば、登録してくれる可能性も高いでしょう。
そして、今後も時々有益な情報が得られるようになれば、もう忘れることはないです。自分でやれることにも限界があるし、いっぺんプロに見てもらってもいいな。もし見てもらうんならそれはもう○○さんだな。となります。
一つさらに考えておいた方がいい点があるとすれば、この人の場合は植木屋さんですから、あまり遠方の人では依頼ができませんね。インターネットは世界中どこからでも見られますが、最終的に顧客になってもらうべきは自分の商圏に住んでいるユーザーです。
ですからこの対策としては、地域ネタも織り込むなどして、googleで地域向けのキーワードでの評価も受けるようにしておいた方がいいでしょう。
地域ネタと言っても、そこは植木屋さんですから、全く関係ない話でも駄目ですよ。海に近い地方であれば防風林の話だったり、塩害に強い樹木の紹介とそれの手入れの仕方とか、そういう本題に絡めた記事を書きましょう。
育てたユーザーを顧客に。
あとは実際に仕事を依頼するきっかけがあれば依頼をしてくれるでしょう。
ここでようやく宣伝です。
あとは売り方次第ですが、facebookで今日作業した実例をアップして、こんな感じの仕事だと○時間くらいの時間と○円の予算をいただければできますよ、とか、来春サクラをきれいに咲かせるには今の時期のこんな手入れが重要です、お問い合わせください、とか、こんな害虫が最近増えてきているから駆除はお任せください、などとアップするといいですね。
対象者はここまでのやり取りでもはや半ばあなたのファンですから、今なら○円で出張費ゼロ!とか、安値をアピールするようなやり方は多くの場合必要ないです。むしろ安く見られすぎて今までのブランディングを台無しにする恐れもあるでしょう。
さらには営業要員にも。
ファンになってくれたユーザーさんは、さらに育てば植木屋さんの営業ともなりえます。
もうこの人にとってこの植木屋さんは信用できる腕利きの植木屋さんですから、仮に自身は遠方で実際には依頼をできなかったり、単に植木に興味があるだけで庭がなかったりしたとしても、知人で庭木の手入れを考えているような話が出たら、そういえばお前の町に○○さんって腕のいい植木屋さんがいるから、相談してみたら?と紹介してくれることだってあり得ますね。
インバウンドマーケティング
今日の話、実はマーケティング業界では「インバウンドマーケティング」と呼ばれる手法です。
従来のマーケティングは、インバウンドマーケティングに対してアウトバウンドマーケティングという用語で呼びますが、テレビのCMだったり、インターネットの広告だったり、新聞の折り込みチラシだったり、ダイレクトメールだったり、とにかく多くの人に対して自分のサービスを目立たせて、そこから購入や問い合わせ、来店につなげていくという考え方が主流でした。
1万人に対してサービスを知ってもらって、その中でたまたま興味を持ってくれる100人に来店してもらって、50人に買ってもらう、という考え方です。
が、インバウンドマーケティングは逆の発想です。
特に宣伝をすることなく、有益な情報を発信して、それを必要とする人たちに向こうから見つけてもらうところをスタートとします。この段階で、向こうからその情報を見つけてくれるような人はすでに潜在的な見込み客ですから、アウトバウンドマーケティングで1万人に知ってもらうのに使ったコストが必要なくなります。スタートの段階ですでに100人に絞り込まれている状態です。
あとはその潜在顧客たちと今後も継続的に接触を続け、価値を提供し、信頼を得ます。
潜在顧客を顧客に育て上げていきます。途中で離脱する人が少ない分、無駄がありません。派手な広告費用も必要としませんから、予算の乏しい中小業者でも行うことができます。
簡単という意味ではありません。顧客になってくれるまで、それぞれの局面で価値を提供し続けなくてはいけませんから、手間はずっとかかります。
簡単ではないですが、誰でもできるマーケティングの手法です。
ブログブログと散々書いておきながら、インバウンドのマーケティングの話ですね今回は(笑)
もちろんこの考え方はブログだろうがそれ以外のウェブサイトだろうが変わりませんよ。
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