悪質なSEOと、それへのgoogleの対応とは?
googleのウェブマスター向け公式ブログでガイドライン違反を繰り返すSEO業者への対応について、というエントリーが今日アップされていた。話の内容は以前からSEO周りの情報を集めている人なら知っていることだけど、公式ブログにちゃんと書かれたってのがミソかな。
エントリー内で言及されている「手動対策によるサイトへの影響はないと主張し、ウェブマスター ツール上のメッセージを無視して、再審査リクエストを送信しないことを推奨してくる。」業者などは、公式にここまで書かれちゃうと言い返せなくなるだろう。
という感想はここまでにして、これはサルでもわかる話を書くブログなので、以下これはどういう話なのか、というのを説明します。
googleとSEO
ウェブサイトを運営していると、もちろんそれをどれだけのお客さんが見に来るか、というのが重要です。ウェブサイトの広告を打ってもいいし、口コミで広めてもらってもいい。でも、中でも注力すべきは検索サイトからの流入です。
検索サイト経由の流入には、特に二つの大きな利点があります。
一つは、広告と違って直接的なお金がかからないこと。検索結果の上位に表示されるようになれば1円も払わなくてもお客さんは勝手にどんどんやってきます。
「直接的な」と書いたのは、広告料は確かにかからないけど、検索結果上位に出るためには血のにじむような努力が必要になってくるので、人材コストを考えると下手な広告よりよっぽど金がかかるとも言えるからです。
もう一つは、例えば検索サイトで「六本木 フレンチ」などと検索する人というのは、今まさに六本木界隈でフランス料理を食べたいとか、奥さんの誕生日のフランス料理店を予約したいだとか、具体的なキーワードであればあるほど本気度が高い、直接的に売り上げに繋がるお客さんである可能性が高いことです。サイトをざっと見に来るだけですぐ帰っちゃうお客さんとは違って、注力するだけの価値がある顧客なわけです。
では、どうやって検索結果の上位を目指すのか、とりわけ利用者の多いgoogleでの検索結果上位を目指すのか、という技術・研究・活動を「SEO」と言います。Search Engine Optimizationの略です。サーチエンジン(検索サイト)最適化という意味です。
googleは検索した人の意向に一番適した、情報の充実したサイトを紹介する、というのを至上命題としています。そのために世界中のサイトというサイトを巡回してその内容を集め、どのサイトがどの情報に強いのか、それにはどれだけ良質な情報があるのかを評価し、検索者が何を求めているのかをキーワードから割り出し、検索者とそれに合った良質なサイトをマッチングさせる、という、いわばやり手の見合い斡旋のようなことをやっているわけです。
リンクファーム
ですから、検索結果で上位に表示してもらうにはどうしたらいいか、というと、「googleが価値があると考えている良質なサイト」になればいいわけです。
現在ではざっくり言ってしまえば、よそにない、自分だけのオリジナルの、また実際のユーザが必要とする情報をどんどんサイトに載せていけばいいわけです。googleのアルゴリズムは昔からそれを目指していて、今やかなりそれを実現できるまでになっています。
ですがつい最近まで、まだgoogleのアルゴリズムも今よりも単純で、例えばリンクが集まればあつまるほどいいサイト、となっていた時代が長くありました。他人のサイトからリンクを貼られて紹介されてるくらいだから、いい内容が書いてあるんだろう、という理屈です。
googleはどういうアルゴリズムで順位付けをしているのかは恐らく核攻撃を食らっても言わないでしょうが、そういう単純な法則で成り立っていた時代はサイト運営者やSEOのコンサルタントの側でもすぐにそれと気づきますから、とにかく価値を高めたいサイトに対してリンクを貼りまくるわけです。
リンクの貼り方にはいろいろあります。一つのサイトから多くのリンクが集まるより、より多くのサイトからリンクが集まった方が価値が高い。さらに、価値の高いサイトからリンクされている方が、リンクを受ける側のサイトの価値も高い、とされていましたから、自らいくつも別のサイトを立ち上げそれらで互いにリンクを貼り合います。
数多くのサイトで相互にリンクを張り合うことにより、それぞれのサイトの価値が高まったところで、本命のサイトにそれら全てからリンクを貼ります。
このやり方をリンクファームと言います。
とにかく数を揃えてリンクを貼り合う作戦ですから、それぞれのサイトをまともに運営していたら手間がかかって仕方がないので、それぞれのサイトには大した内容がありません。ひどいときには別のサイトとまったく同じ内容の使い回しだったり、そもそもリンクが並んでいるだけでそれ以外に何も情報がなかったり、機械的に短文を組み合わせて無理やり文章に仕立てた、意味の分からないページだったりします。
当然、これらのサイトやページはgoogleの検索エンジンに価値を認めようとさせるだけの、実際の利用者にとって全く無駄なサイトなのですが、検索エンジンにはそれなりに価値のあるものと認識されてしまいますから、検索結果の上位がこれらの無駄なページで埋め尽くされてしまうことが起こりました。
ブラックハットSEOとホワイトハットSEO
こうした類の、本来のサイトの持つ価値を偽装して有用なサイトであると検索エンジンに認識させようとするやり方を「ブラックハットSEO」と言います。
googleが目指しているのは、実際に価値の高いサイトを集めることですから、何とかこの手の価値を偽装されたサイトを検索結果から外して、本来の有用なサイトのみを検索結果に表示させようと、アルゴリズムを進化させていきました。逆に、ブラックハットSEOを専門とする業者も、アルゴリズムの穴を見破って、新しい方法を考え出していきます。いたちごっこです。
ですが、このいたちごっこは、昨年から次々と投入されている「パンダアップデート」「ペンギンアップデート」と呼ばれる一連のアルゴリズム改修によって、ほぼ勝負がついたと言えます。本来の、価値の高い情報のあるサイトだから紹介しよう、という意味のリンクと、価値を高めようとするためだけのリンクとをほぼ正確に見分けるようになってきて、ブラックハットSEO業者の出る幕はなくなりました。ちなみにこれらの改修にパンダやペンギンの名前がついているのは、白黒はっきりさせる、という意味があるそうです。
とはいえ、これはまだ100%完全に仕分けられるわけではないため、googleでは不自然にリンクが多く集まっているサイトに対しては人の目で実際にサイトをチェックして、そのサイトの価値、リンク元のサイトの価値を調べることをしています。これにより、これはサイトの価値を偽装するためのリンクを集めているだけである、と判断された場合、人為的に検索結果からそのサイトが外されます。
これは、検索エンジンを利用してインターネットで有益な情報を見るのが目的である利用者にとっては、無駄なサイトばかりが見つかって、なかなか知りたいことが見つからない状況がなくなるので大変喜ばしい状況です。
対して、今までブラックハットSEOの手法でサイトの価値を高めてきていたサイトの運営者にとってはまさに死活問題です。今まで検索結果から多くの顧客が流入していたのが全くゼロになってしまうわけです。もちろん、本来の価値以上に見かけの価値を高めて客を集めてきたわけですから、自業自得とも言えますが。芝エビと言ってパナメイエビの料理を出す某ホテルと変わらない状態です。それがバレて客が来なくなったところで、文句言えませんね。
googleのアルゴリズムがここまで進化してしまった結果、機械で判断のつかないグレーなものは人力でどうにかできる程度の量になっているようです。
これからのSEOは、実際に価値のある内容を載せたサイトを作ることから始めるしかありませんし、それは結局のところサイトを訪れる顧客に
このような状態になってしまったサイトの運営者に対して、googleは救済措置も用意しています。ウェブマスターツールという、googleとサイト運営者との間で情報をやり取りするツールがあるのですが、ペナルティを受けたサイトの運営者がこれに登録している場合は、ウェブマスターツールを通して警告が通知されます。あなたのサイトには不自然な偽装リンクが多いから、これを全部消して正しいリンクだけにしないと検索結果に載せてあげないよ、という連絡です。
警告を受け取ったサイト運営者は、自分のサイトに向けられている価値を偽装するためのリンクをすべて見つけ出して削除し、そのうえでgoogleに再審査を依頼します。不正リンクがなくなっていることがgoogleに認められれば晴れて検索結果に再登場するようになりますが、以前は価値を偽装して上位に出ていたわけですから、ペナルティが無くなったところで順位はずっと下の方に落ちていることでしょう。あとは地道な努力でサイトの価値を実際に高めていくしかありません。
さて、このように他のサイトから貼られているリンク(被リンクと言います)を削除する作業ですが、これには一つ大きな問題があります。
リンクを貼っている側のサイトも自分で運営しているのなら、単純に削除をする作業を自分でやってしまえば済むわけですが、例えばブラックハットの手法を取るSEOコンサルに今までの対策を依頼していた場合、たいていリンク元のサイトをいじる権限は自分にありませんから、対策を施したSEO業者や、リンクを貼っているサイトの運営者に連絡を取って削除を依頼しなくてはいけません。
素直にリンクを消してもらえればいいですが、業者からリンクを削除する手数料を要求されることもあります。足元を見ているとも言えますが、まあ今までリンクを金で買っておいて、今度は風向きが変わったから今すぐ外せと言われても、業者にとっても手間はかかるわけですから手数料を要求しないとやってられないという事情もありますね。
さらには、そもそもリンクを世界中の多方面に貼りすぎてリンク元サイトの運営者が見つからない、連絡が全く取れないという状態もあり得ます。とにかく数を稼ぐために二束三文の同じようなサイトを大量に作ったりしているので、どこにどれがあったのか運営者も覚えていなかったりもします。
手動ペナルティを受けるほどの多量のリンクを貼ってしまっているとなると、すべてのリンクを削除できるかというと実際問題難しそうです。
ここでようやく冒頭にリンクしたgoogle公式ブログの話につながります。長かった。
リンクを消す努力を最大限に行ったけどそれを果たせなかった場合、その旨を含めてgoogleに再審査を依頼することができます。
この場合は、リンク削除に応じてくれないサイト運営者やSEO業者とのやり取りのメールだとか、どれだけ自分が心を入れ替えてブラックハットSEOから卒業する努力をしたかというアピールが必要のようです。最終的には、ウェブマスターツールを通じて、削除し切れなかったリンクを無効にする設定をすることもできます。
今回のお話で一番言いたかったのは、これからのSEOは小手先の技術はもはや二の次で、とにかく自分だけの、本当に価値のある情報、サイトに訪れるユーザに喜んでもらえる情報をいかに載せていくのか、そのことを真っ先に考えましょう、ということです。
そのための努力は実際の店舗や営業所の運営と同等のものが求められるようになって来ますが、逆に言えばそうした努力は小手先の施策をしただけのライバルに負けるようなことはなく、報われるようないい時代になりました。
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